パラグアイに行こう(3代目)

パラグアイの首都アスンシオン市からの発信です!!

政治・経済 日系社会

岸田首相パラグアイ訪問(2024年 5月 3日)

2018年に安倍晋三首相が訪問して以来、首相としては2回目の訪問となります。ここでは新聞記事を中心に訪問の記録をまとめてみます。

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岸田首相、中南米外交で重要な日系人と交流重ねる 「若い同胞を誇りに思う」(産経新聞)

https://www.sankei.com/article/20240505-I57PKWNOGVO2RMSVOJDBMNCSFQ/

ブラジル訪問中の岸田文雄首相は4日昼(日本時間5日未明)、中南米最大の日系社会があるサンパウロで、日系人との交流イベントに参加した。首相は実質2日間のブラジルとパラグアイ滞在期間中、3回の日系人交流行事に出席した。農業など幅広い分野で活躍し、中南米に良好な対日感情をもたらしてきた日系人は、日本の外交戦略上も重要な存在だ。

日本が尊敬される国に

首相はサンパウロでの歓迎式典で、若い日系人によるブラジル社会への貢献活動に触れ「若い同胞を誇りに思う。同時に皆さまが自身のルーツを誇りに思えるよう、日本が尊敬される国であり続けるよう努力する」とあいさつした。約500人で埋まった会場から拍手が湧いた。会場到着時には子供たちが両国の国旗を振って出迎えた。同国の首都ブラジリアでも3日午前(日本時間同日夜)に日系人と懇談した。3日夜(日本時間4日午前)のパラグアイの首都アスンシオンで約300人が集まった交流イベントでは「ここで活躍する日系人もわれわれにとって大きな財産」と述べた。日系人の代表者は「理想郷建設を目指した開拓初期の汗と涙の努力の積み重ねが、両国間の国際交流の土台になっている」と語った。中南米には推計約310万人の日系人が住み、このうちブラジルには人口の約1・2%にあたる約270万人が居住。だが、今や日系6世も生まれ、同胞意識は薄れてきている。そこで首相は、3カ所の行事で、今後3年間で1千人規模の日系人交流事業を実施すると表明した。若者を中心に中南米の日系人に訪日の機会を設け、日本とのつながりを強めてもらう狙いがある。

深まる中国の影

近年は中国が中南米に経済進出し、影響力を増している。ブラジルの最大の貿易相手国は中国だ。かつて「米国の裏庭」と呼ばれた中南米における日米の影響力は相対的に弱まっているものの、日本との関係も重視する国が多い。

ブラジルのルラ大統領は岸田首相との共同記者発表で「日本人(日系人)が一番集中しているのは日本をのぞけばブラジルだ。首相はもっと頻繁に来てください」と語り、両国の特別な関係に言及した。約1万人の日系人を抱えるパラグアイのペニャ大統領も共同記者発表で「非常に素晴らしい(発展の)基礎をパラグアイに残し、忠実な友人関係を育んできた」と称賛した。首相は日本と中南米が歩調を合わせ、気候変動対策や国際秩序維持といった共通の目標に取り組む姿勢を強調した。その礎になるのは日系人が現地で築いてきた信頼感だ。同時に「ブラジルなどの政権側にとって日系人は意向を無視できない重要な票田で(ルーツの)日本のことも尊重する」(外務省幹部)との見方もある。

  • 写真 パラグアイの首都アスンシオンで日系人らとの交流イベントに参加した岸田文雄首相(中央)ら(首相官邸ホームページより)

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日本・パラグアイ首脳会談 親台湾国にアジア情勢説明(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA032IO0T00C24A5000000/
岸田文雄首相は3日(日本時間4日)、パラグアイの首都アスンシオンでペニャ大統領と会談した。同国が南米で唯一、台湾を承認している立場を踏まえ、東アジアの情勢を説明した。首相は共同記者発表で「世界のどこであっても力による一方的な現状変更は許されないという意思をペニャ大統領と確認した」と話した。ペニャ氏は「台湾と長い外交関係を持っている」と強調した。両国が自由や民主主義、法の支配などの価値と原則を共有し、さらに関係を強化すると申し合わせた。ペニャ氏は日本のパラグアイでのインフラ整備や保健医療への貢献に謝意を示した。パラグアイは南米の関税同盟メルコスル(南部共同市場)で議長国を務める。ペニャ氏は日本との経済連携への期待を示した。首相は「経済関係の緊密化に努めていく」と訴えた。日本の首相がパラグアイを訪れたのは2018年の安倍晋三氏以来2回目になる。パラグアイは日系人が1万人ほど住む。人口680万人ほどだが、中南米の各国が台湾と断交して中国と国交を結ぶ流れが相次ぐなかで外交上重要な立ち位置にある。

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「力による現状変更許さず」 日パラグアイ首脳、会談で一致(毎日新聞)

https://mainichi.jp/articles/20240504/k00/00m/010/066000c

岸田文雄首相は3日午後(日本時間4日午前)、パラグアイの首都アスンシオンを訪問し、大統領府でペニャ大統領と1時間会談した。同国は南米唯一の台湾承認国で、中国を直接名指しはしなかったものの、「世界のどこにおいても力による一方的な現状変更は許されない」との認識を確認した。日本の首相が同国を訪問するのは6年ぶり。会談で首相は「自由や民主主義、人権などの価値と原則を共有するパートナーであるパラグアイとの友好関係を新たな高みに引き上げたい」と表明。東アジア情勢について意見交換し、自由で開かれた国際秩序の維持・強化で協働していくことで一致した。また両首脳は、産官学の宇宙協力プログラムや情報通信分野の包括的協力についての覚書を締結することを確認。両分野における人材育成や技術協力で連携を加速させることで合意した。首相は、日系企業14社が同行したことを踏まえ、「競争力のある労働力や豊富な水力資源などの良好な投資環境がある」とパラグアイへの期待感を伝達。パラグアイが今年上半期の議長国を務める関税同盟「南米南部共同市場(メルコスル)」と日本との関係強化のあり方を検討していくことで一致した。会談後の共同記者発表で、首相は「長年の信頼できるパートナーであるパラグアイと連携を強めたい」と強調。ペニャ氏は「両国関係を強化し将来の歩みを共にしたい」と語った。

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岸田首相、パラグアイ大統領と会談へ 台湾海峡の安定の重要性確認(毎日新聞)

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/岸田首相-パラグアイ大統領と会談へ-台湾海峡の安定の重要性確認/ar-AA1o4W9b

岸田文雄首相は3日午後(日本時間4日午前)、パラグアイの首都アスンシオンを訪問し、ペニャ大統領と会談する。同国は南米唯一の台湾承認国で、両首脳は、中国が軍事的圧力を強めている台湾海峡の平和と安定の重要性を確認する。情報通信や宇宙分野での人材育成や技術協力を進める覚書にも署名する見通しだ。日本の首相が同国を訪問するのは6年ぶり。昨年8月に大統領に就任したペニャ氏と初めて対面で会談する。パラグアイは、ブラジルやアルゼンチンなどと構成する関税同盟「南米南部共同市場(メルコスル)」の議長国を務める。メルコスルと日本の今後の関係強化についても意見交換する。両国の友好の証しとして、首相がペニャ氏から勲章を受けることも決定。首脳会談後に授与式も開かれる。

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首相、フランス・ブラジル・パラグアイ訪問 5月1日から(日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA25BTG0V20C24A4000000/

林芳正官房長官は26日の記者会見で、岸田文雄首相が5月1〜6日の日程でフランス、ブラジル、パラグアイの3カ国を訪問すると発表した。パリで経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会に出席するほか、南米で「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との関係強化を唱える。日本は2024年にOECD閣僚理事会の議長国を務める。林氏は首相の会合出席の狙いを「国際社会が直面する経済社会分野の諸課題の解決に向けた議論を主導する」と説明した。南米訪問では2国間関係と国際情勢をめぐる連携を強めたい考えを示した。首相は2日にOECDの閣僚理事会で基調演説し、人工知能(AI)など国際ルールづくりの重要性を訴える。24年は日本がOECDに加盟してから60年の節目に当たる。フランスのマクロン大統領との首脳会談にも臨む。3日はブラジルの首都ブラジリアを訪れる。ルラ大統領と会談し、24年にブラジルが議長国を担う20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に向けて意見を交わす。脱炭素分野で包括的な協力を打ち出す見通しだ。パラグアイは南米で台湾と外交関係がある唯一の国で、中国と距離を置く。対中国を念頭に貿易の拡大を軸に関係を強める。改めてブラジルに戻り、4日にサンパウロで日本の首相として10年ぶりとなる中南米政策に関する演説を予定する。

パラグアイでは宇宙航空研究開発機構(JAXA)が同国宇宙庁との協力に向けた覚書を交わす。日本企業によるゴマ農家支援やコンクリートを補強する繊維の技術協力などの案件を調整する。

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岸田外交、経済で「サウス」接近 初の南米に企業同行(日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA172KC0X10C24A4000000/

岸田文雄首相は大型連休中の5月上旬、フランス、ブラジル、パラグアイの3カ国を訪問する。新興・途上国「グローバルサウス」に「法の支配」の重要性を各地で訴える。南米に企業幹部らも同行し覇権主義的な動きをみせる中国やロシアに傾斜しすぎないよう経済関係の強化をうたう。首相は4月に同盟国の米国を国賓待遇で訪れた。「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」を堅持するため、責任を分かち合う姿勢を前面に出した。グローバルサウスを日米欧に引き寄せる役割を担うのもその一環だ。地理的に遠い南米はアジアや米欧に比べ日本の首相が足を運ぶ機会が限られる。岸田首相にとっては2021年の就任以来初の訪問で、ブラジルは16年、パラグアイは18年に当時の安倍晋三首相が訪れて以来となる。企業幹部らで構成する経済ミッションが同行し、経済協力を前面に出す。バイオエタノールといった脱炭素分野や希少鉱物での協力案件の積み上げをめざす。南米も中国との経済関係が深く、例えばブラジルにとって中国は輸出入とも最大の相手だ。日本として官民挙げて中国に依存しない経済、供給網の構築を促す。ブラジルは特にグローバルサウスの軸となる国のひとつで、中ロ印、南アフリカとともに「BRICS」と呼ばれる枠組みの一角を占める。24年の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の議長国でもある。首相はルラ大統領と会談し、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化で認識を擦り合わせる構えだ。サンパウロで中南米政策に関してスピーチする。これとは別に日系人に向けて日本との絆を訴える演説も予定する。外務省が4月1日に公表した推計によるとブラジルには約270万人の日系人がおり、歴史的な結びつきも強調する。パラグアイは南米で唯一台湾と外交関係を保ち、中国と距離を置く国だ。南米5カ国の関税同盟メルコスル(南米南部共同市場)の議長国という立場にもある。日本の首相として安倍氏に続く2回目の訪問で、価値観を共有する関係を前面に出す。首相は南米に先立ち5月2日にはパリで開く経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会に出席する。日本は24年の閣僚理事会の議長国を務める。世界経済や生成AI(人工知能)、気候変動などの国際課題を巡るルールづくりを唱える。日本が前回議長国だった14年には当時の安倍首相が出席した閣僚理事会で、OECDと東南アジア諸国連合(ASEAN)の政策対話を立ち上げた。OECD諸国が加わるルールや国際基準への参加をASEANに促す機能がある。岸田首相は今回この10周年を記念する会合で発信する。OECDには米欧の主要な先進国が参加する。自由なデータ流通や質の高いインフラ整備といった分野を念頭に米欧とASEANの協調を呼びかける。

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「求ム海外日系人」 推計3割増の500万人、企業先導役に(日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0719K0X00C24A5000000/

日本政府が世界の日系社会とのかかわりを強め始めた。日本が経済成長の低迷や人口の減少で国際競争力を落としている現状を踏まえ、日系人が持つ力への評価を高めている。外交や国内の労働力不足の補完役として期待する。「ふるさとに帰ってきたようだ」。岸田文雄首相が4日、ブラジルの最大都市サンパウロで日系人が主催した歓迎式典であいさつすると、大きな拍手が起こった。1868年に最初の移民が労働者としてハワイに渡って以降、多くの日本人が就業や婚姻を理由に世界各国に移り住んできた。中南米も日系人の歴史が古い。首相は大型連休中に訪れた南米のブラジルとパラグアイで日系社会とのふれ合いに努めた。4月に国賓待遇で訪米した際もワシントンで「全米日系米国人慰霊碑」に献花した。日系人とのかかわりを重要な外交日程に位置づけている。

推計調査を強化

首相の南米訪問の1カ月ほど前、外務省は海外の日系人の数や分布に関する推計を初めて詳細に公表した。日本国籍の有無にかかわらず、日本人の血をひき、永住目的で海外に居住している人を日系人として数えた。各国の日本大使館が、管轄国の統計、在留届の永住者数、各種調査、その国・地域に特有な事情などを総合的に勘案して推計した。2023年10月時点で約500万人いた。ブラジルが270万人ほどで5割強を占め、米国が150万人と続いた。欧州にも12万人、中東に2000人、アフリカに900人を確認した。前回18年に推計を公表した時は380万人以上と発表しており、数字の上では3割増えた。現地の出生や移民の増加だけでは説明できない。外務省は推計の詳細の公表に向け、従来以上に日系人の数を捕捉しようと、各大使館に調査の強化を指示していた。ブラジルでは推計を出すうえで人口増加率を加味した。日系社会が相対的に高い経済力を持つことから同国全体の割合より多く見積もるなど実態に近づけた。外務省が世界の日系人の動態を精緻に調べ始めた背景に日系人が持つ力への期待がある。1つは現地での人脈をいかした日本の発信だ。首相は南米滞在中、3年間で中南米の日系人1000人規模の交流事業を実施すると表明した。主に若い世代に来日の機会を設け、日本の魅力を発信してもらう。地域の日系人インフルエンサーに働きかけ日本の好感度を高める取り組みも検討する。

企業の水先案内人

外交で国際世論対策は重要な位置を占める。韓国は外国の自国コミュニティーの発信にたけるとされる。中南米は重要鉱物や食料の一大生産地で、日本として経済安全保障の観点から関係を強めたい地域だ。中国が広域経済圏構想「一帯一路」のインフラ支援を通じて影響力を広げている現状で、日系社会と連携して巻き返す。日系人は日本企業が外国でビジネス展開する「水先案内人」にもなり得る。日本の文化や商習慣を理解し、現地でネットワークを張る日系社会は、特に経営基盤が弱い中小企業が海外に進出する際に頼りになる存在だ。日系人に期待するもう一つの役割は国内の労働力不足の補完だ。日本は人口減少で中長期的に働き手が減り続けるなか、各国と海外人材の獲得競争にさらされる。日系人は一般の外国人よりも国内で就労する条件が緩やかであるほか、言語や文化への理解も相対的に高く、日本政府には国内で働いてもらいやすいとの期待がある。外務省幹部は「専門的な技術を持つ高度人材にも目を向けたい」と話す。かつて日本政府と日系社会のかかわりは現地への定着の支援が主だった。いまは日本の国際競争力の低下も背景に、日系人の力を借りる取り組みの軸足を移している。首相周辺は「日系社会は経済や政治の面で必ずしも本国と思惑が一致していない」と明かす。日本と日系社会がどうウインウインの関係を構築できるかが試される。

日本への帰属意識、どう維持?

日系社会では世代交代が進み国・地域によっては3世、4世に中心が移りつつある。現地に浸透し、日本にルーツを持つことを意識しない人もいる。国への帰属意識を持つうえで大きな要素になるのは国籍だ。日本は現在、国籍法で日本と他国の国籍を持つ「二重国籍」を原則認めていない。例えば日本人と外国人の間に外国で生まれた子どもが、日本とその国の両方の国籍を持っている場合、20歳までにどちらかを選ぶ必要がある。日系社会で二重国籍を認めるべきだとの声は根強い。世界各地の日系人が交流する「海外日系人大会」は23年の大会宣言で「海外で生まれ育った子どもが日本人・日系人としてのアイデンティティーを保つには国籍法の改正が必要だ」と訴えた。大会を主催する海外日系人協会の水上貴雄事務局次長は「日本国籍を持たないことで日本への帰属意識が薄れていくと危機感を持つ日系人もいる」と話した。世界では二重国籍を認める国は多い。人口動態を扱う独立機関ワールド・ポピュレーション・レビューによると、調査した87カ国のうち、なんらかの形で複数国の国籍の保有を認める国は全体の8割ほどだった。ドイツは労働力を確保し、国際競争力を維持するため、23年に二重国籍の容認にカジを切った。韓国も11年に国籍法を改正し「国籍唯一の原則」を転換した。二重国籍には納税国の整理などの課題はあるものの、日本政府内には日系社会とのかかわりを強めるうえで議論を避けて通れないとの見方がある。

記者の目 日本の魅力を高めたい

岸田文雄首相はサンパウロで日系人に「100年以上前に海を渡り国の発展に貢献してきた勇気とご苦労を思うと胸が熱くなる。同胞の皆さんを誇りに思う」と語りかけた。日本の首相が南米を訪れる機会は限られ「日系人にアイドルのような歓迎を受けた」(首相周辺)。現地に溶け込む苦労を知る世代の感慨はひとしおだっただろう。日系人も代を重ねれば、現地への帰属意識が強まり、日本への関心が薄れる。首相は「ルーツに誇りを持てるように日本を光り輝く良い国にしていく」と強調した。日系人の力を借りるには日本側も努力を求められる。日本の魅力をもっと高めると同時に日系人への理解を深めたい。地球の至るところで日本を支援してくれる「応援団」に関心を寄せることから、新たな時代の協力策は生まれる。

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