在パラグアイ日本商工会議所は、5月 8日に創立50周年の記念式典を市内パセオ・ラ・ガレリアにて開催した。式典には会員の他、ハビエル・ヒメネス商工大臣、板垣克巳在パラグアイ日本国特命全権大使、エルメリンダ・オルテガ上院議員、中山裕仁・エドワルド上院議員、また近隣諸国(ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、ボリビア)の各日本商工会議所、並びに日本を含めて国外から30名近くの方が参加して盛大に開催されました。
(なお、写真は会議所の公式写真を転用しております。)
在パラグアイ日本商工会議所、創立50周年を祝う:経済と文化の協力の架け橋として (ラ・ナシオン紙 抄訳)
在パラグアイ日本商工会議所(CJCIP)は、創立50周年を記念し、経済界、外交関係者、政府関係者らが参加する式典を開催した。会頭の長岡直樹氏は、日本企業とパラグアイ企業との対話の促進役として、同会議所が果たし続けてきた役割を強調し、投資、イノベーション、双方の発展の機会を多くの分野で促進してきたと強調した。設立から半世紀を迎えた今、同会議所は、日本とパラグアイを結ぶ確かな架け橋としての存在を確立している。長岡直樹氏は「私たちは経済面だけでなく、文化的な相互理解の架け橋を築くために、たゆまぬ努力を重ねてきました」と語った。長年にわたり、同会議所は展示会や企業ミッション、イベントの開催において重要な役割を果たしており、二国間ビジネスネットワークの強化に貢献してきた。その結果、日本はパラグアイ経済発展の戦略的パートナーとしての地位を築いている。
投資の可能性
長岡直樹氏はまた、両国間の投資ポテンシャルは非常に大きいと述べた。パラグアイは食料生産に適した肥沃な土地を有し、他方の日本はさまざまな分野で高度な技術力を持っている。こうした強みを融合させることで、両国にとって大きな利益をもたらすことができる。「両国関係をより一層緊密にするため、最大限に活用していくべきです。共に働き、繁栄し、共にリーダーシップを発揮していくことが私たちの目標です」と語った。
商工大臣のハビエル・ヒメネス氏も、同会議所が日本の起業家精神を体現し、交流と革新の場となってきたことを高く評価。「パラグアイは今、日本のような国になりたいと考えています。日本はパラグアイの15倍の輸出力を持ち、80年で世界の経済大国トップ5にまで成長しました」と述べた。
日本企業の投資
投資面において、長岡直樹氏は、同会議所がパラグアイに進出を希望する複数の日本企業を支援してきたことを紹介。ビジネス環境や規制、成長分野に関する情報を提供してきたという。中でも注目される投資例としては、自動車部品メーカーの矢崎総業、住友電装、藤倉が挙げられる。これらの企業はマキラ(Maquila)制度のもとで操業しており、数千人規模の雇用を創出している(その多くは女性が占めている)ほか、地元労働者の技術力向上にも寄与している。
自動車産業の展望
矢崎総業・メルコスールのCEOであり会長を務めるラザロ・デ・フィゲイレド氏は、パラグアイが自動車・部品産業にとって魅力的な投資先としての地位を確立しつつあると述べた。「パラグアイは、自動車関連企業の進出先として広大な可能性を秘めています」と述べ、同国が豊富な天然資源、クリーンエネルギー、環境に配慮した産業を受け入れる姿勢を持っていることを強調した。「パラグアイは今、成長段階にあり、技術革新、クリーンエネルギー、持続可能なバリューチェーンを重視する企業にとって大きなチャンスが広がっています」と、ラ・ナシオン紙の取材に答えた。
未来に向けて
将来を見据え、長岡直樹会頭は、パラグアイと日本の商業関係が、再生可能エネルギー、バイオテクノロジー、情報技術など戦略的分野においてさらに強化されるだろうとの見通しを示した。また、牛肉、穀物、より高付加価値の食品といった食料品の輸出拡大の重要性を指摘し、高品質な製品によって食料安全保障に貢献できると述べた。ただし、官僚主義の軽減、インフラ整備、専門的技術教育の必要性といった課題にも取り組む必要があると警鐘を鳴らした。式典はパセオ・ラ・ガレリアのイベントセンターで開催され、在パラグアイ日本国特命全権大使の板垣克巳氏、商工大臣のハビエル・ヒメネス氏をはじめ、各国の企業家や特別招待客が出席し、50年にわたる実りある協力と共有されたビジョンを共に祝った。




(参考;創立の経緯)
創立の経緯(パラグアイ日本人移住五十年史より)経済活動-パラグアイ日本商工会議所・会頭 笠松 尚一:一九六九年五月六日、当パラグアイ国で経済活動に従事している人達で、親睦的な集まり「火曜日会」を設立した。名誉会長に二股一男大使、井上嘉博経済担当官、永田良三移住事業団支部長、正会員は笠松尚一、福岡暉久、石岡、松崎、中島、杉井明、篠崎、豊歳直之、以上九名、世話人笠松尚一で発足し、毎月定例夕食会と会員及び来訪者の歓迎会等を行っていた。
一九七五年三月二六日、南米経済担当官会議主席の野々垣哲夫経済担当官、及び民間代表の藤村登(三井)、佐藤禎孝(ISEPSA)の報告昼食会で、パラグアイ日本商工会議所設立の必要性が力説され、続いて一九七五年四月二三日、種谷大使より、「六月には、ラプラタ大型経済使節団が来パされるが、大使館ではスタッフが少なく受け入れが難しい、早急に商工会議所を設立して協力を頼む」と強力に要請を受けた。よって五月六日、設立発起人会、五月七日には永野大型経済ミッション歓迎準備委員会を開き、一九七五年五月十三日、日本商工会議所創立総会を開催した。創立委員十四名、初代役員会頭笠松尚一(笠松商工)、副会頭宮廣千代蔵(CAICISA)、豊歳直之(豊歳)、定款作成委員坂本邦雄(住友)、豊歳直之
一九七五年六月二六日、ラプラタ河流域諸国経済使節団来訪:団長永野重雄・日本商工会議所会頭、副団長水上達三・日本貿易会会長、同法眼晋作・国際協力事業団総裁、同大来佐武郎・外経済協力基金総裁、団員日本輸出入銀行・星野副総裁、金属工業事業団・平塚理事長、三菱重工・古賀会長、石幡・田口会長、三菱・田部社長、三井・池田社長、伊藤忠・戸崎社長、丸紅・檜山社長、住商・津田社長、日綿・神林社長、五洋建設・小野社長、日商岩井・植田副社長、新日鉄・田坂副社長、政府随員五名、夫人六名、秘書十名、近隣諸国より十二名、計五一名の文字通りの大型使節団は、商工省、外務省訪問、経済閣僚会議に出席、翌日は大統領表敬訪問、経団連、工業連盟、経済界代表と経済、金融懇談会等に出席。
パ国政府の使節団に対する要望事項土木建築関係、①コロネルオビエド~ペドロファン・カバリェロ間舗装三、七百万ドル、②ペドロファン・カバリェロ~コンセプシオン間舗装二、七〇〇万ドル③アカアイ~ラ・コルメナ間舗装三七五万ドル等であった。又十月にはブラジル日本商工会議所経済使節団、橘富士雄団長以下八〇名が来パ、その応接を行った。
爾来、今日に至るまで、本来の経済活動と共に、外来の経済関係者と当国政府及び経済界との仲介、懇親等役割を果たし、当国経済界の発展に寄与しつつある。
※ 参考記事
長岡直樹氏:「パラグアイは食料純生産国、日本は純輸入国。補完的な関係を築くための条件はすべて整っている」(インフォネゴシオス)抄訳 (2025年4月22日)
パラグアイは2025年の大阪・関西万博に参加、同博覧会はイノベーション、テクノロジー、国際協力を通じて地球の未来について対話を開くことを目的としている。在パラグアイ日本商工会議所会頭の長岡直樹氏によると、62名の企業家からなる代表団が5月16日にアスンシオンを出発し、5月19日の「パラグアイの日」に合わせて日本に到着する予定だという。この参加により、代表団は大丸やコスモス食品といった企業を訪問する予定。長岡氏によれば、このような企業とは個々の力でコンタクトを取るのが難しいという。
また、神戸商工会議所での会合も予定されており、1万5千社以上の会員を持つ同会議所は、パラグアイ側の訪問者にとって日本の企業家たちと交流し、強力なビジネスネットワークの仕組みを知る貴重な場となる。このように、万博はイノベーションとテクノロジーのショーケースであると同時に、地域間をつなぎ、グローバルな解決策を生み出し、国家間の協力を促進する場ともなる。「パラグアイは万博内にパビリオンを持っていますが、製品を展示するというよりも、世界が持つ科学技術や新たな商機を発見することに重点を置いています」と長岡氏は語った。両国間の外交・文化的なつながりは強固であるにもかかわらず、貿易量はまだ低い水準にとどまっている。「パラグアイからの年間輸出額はわずか5000万ドル程度です」と同氏は指摘する。現在、日本に輸出されているパラグアイ産品にはゴマやチアシードなどの食品が含まれている。しかし長岡氏は、一定の課題を克服すれば、パラグアイの日本市場での存在感は大幅に拡大できると強調する。その課題として、国としてのマーケティング不足、日本市場の厳しい品質基準、そして何より物流上の制約を挙げた。現状、パラグアイからの輸出の8割以上がラ・プラタ川経由で行われており、アジアに到着するまでに最大で45日を要する。一方、日本からの輸入は主に自動車や自動車部品に集中しており、年間2億2000万ドル程度の取引となっている。
この点において「太平洋・大西洋両岸回廊」は大きな希望となり得る。このルートを使えば、チリやペルーの太平洋側の港へと商品が3〜4日で到達でき、アジアへの輸送時間も約15日に短縮される。現在の所要時間の3分の1に圧縮されることで、貿易の構造自体が大きく変わる可能性がある。「日本の工場は非常に厳格なスケジュールで動いています。納期を守れるようになれば、多くの扉が開かれるでしょう」と長岡氏は語る。「我々はこうした課題について対話を始めたいと考えていますし、日本企業にもパラグアイを知ってもらいたいと思っています。国のマーケティングが得意ではないため、多くの人がまだパラグアイを知らないのです」と、長岡氏は語る。
日本市場が品質に関して非常に厳しいことは承知しているが、パラグアイは品質管理や国際基準に関して進展しており、十分に競争可能な立場にあると強調した。また、大豆、牛肉、木材などの分野で生産量が増加しており、物流やプロモーションを整えれば、日本市場への参入に大きな可能性があると述べた。「我々は食料純生産国であり、日本は純輸入国です。補完的で戦略的、そして持続可能な関係を築くための条件はすべて整っています。ただ、世界に向けて自分たちをもっとアピールする必要があるのです」と長岡氏は締めくくった。
